目先の金しか見ない日本人
私は大学で文学部に所属していた。
そのために、「それが将来何の役に立つの?」ということはよく言われた。
文学部など就職には何の役にも立たないと思われていて(それは実際にそうなのだが)、学ぶ価値など無いと思い込んでいる人々が日本社会には結構存在する。
しかし、
就職に役立たない=学ぶ価値がない
というのは大いなる間違いである。
そもそも大学は就職の役に立つことを学びに行く場ではない。
大学というのは「知」を創造する場だ。
そのことをわかっていない日本人が多すぎる。
全ての人間が大学に行っていない以上、わかっていないのは仕方がないことかもしれないが、それなら余計なことを言わなければいいのにと思う。
そもそも就職の役に立つことだけしか学ばないならば、人類はここまで進化しなかっただろう。
人類は、「それが何の役に立つの?」ということを考えて考えて考え抜いたあげくに、ここまでの進化をしたのである。
たとえば、ニュートンの万有引力やアインシュタインの相対性理論だって、就職の役には立たないだろう。直接的には将来の役には立たないであろう。
しかし、当時の学界がそんな「就職の役に立たない」事柄に価値を認めていたからこそ、ニュートンやアインシュタインは偉大なる科学者として歴史に記録され、人類の「知」は飛躍的に進歩したのである。
日本社会はそんな「就職の役に立たない」=「目先の金に結びつかない」学問の価値をもっと認めるべきであるし、もしそうしないのなら、今後日本から新しい「知」が創造されることはないだろう。