「自粛疲れ」に陥らないために
「自粛」という言葉が嫌いだという事を以前に書いた。
しかし、私はコロナに対して自粛が無意味だとは考えていない。
人が外出しないようになればそれだけ人と接する機会が減るからコロナは蔓延しなくなるであろう。
たしかにそれは正しい。
しかし、人間は機械ではない。
コロナの蔓延防止という疫学的に正しいことが、人間の行動心理的に正しいとは限らない。
人間は欲望の動物だ。
外に出たいのに「家にいろ」と強制され続ければストレスがたまる。
そのストレスで鬱になる人もいれば、自粛解除後に一気に発散する人もいるだろう。
自粛解除後に一気に発散したのが昨年の緊急事態宣言明け以降の日本だ。
その「一気に発散」状態が現在も続いていると見ることができるだろうか。
いくら政府や都知事が自粛を呼び掛けてもそれを聞かない人々は一定数いる。
何故なら人間の心はゴムまりのようなもの。
押さえつければつけるほど、その反発もまた激しくなるものだ。
自粛をさせればさせるほど、その反動もまた大きくなるものだ。
緊急事態宣言中に自粛を頑張った人たちほど、一度緩めてしまったらまた自粛することが難しくなるものだろう。
ならば長く自粛を継続させるコツは何か。
簡単なことだ。あまり自粛を頑張らないことだ。
あくまでも自分がストレスを貯めない範囲内でのみ自粛することだ。
「それではいつまでたってもコロナがおさまらないだろう!」と怒る諸君もいることだろう。
そのとおり。コロナはそう簡単にはおさまらない。
コロナとの闘いは短距離走ではなく長距離走、マラソンのようなものだ。
一生懸命自粛をすればするほど途中でギブアップしてしまうものだ。
だからストレスは時々発散すべきなのだ。
しかしそこで気を付けておくべきことは、他人の逆をするという発想だ。
「今日は人出が多そうだな」と思うときは外出を控え、「今日はみんな自粛して人出が少なそうだな」という時に外出してストレス発散すべきなのだ。
何故か日本人は「他の人も外出しているから私も外出しよう」とか「他の人も外出を控えているから私も自粛しよう」というような「みんなと一緒」が大好きだが、コロナ禍の時はあえてその逆をするべきなのである。
「コロナ蔓延防止のために分散初詣」なんていうのが記事になっているが、日常的にそれをすべきなのである。
必要なのはみんなと一緒に自粛することではない。
他の人と外出するタイミングをずらすことなのだ。
それがコロナ禍の中で「自粛疲れ」に陥らない方法だろう。